[24] 基本運用方針-改訂第2版-2015年9月30日
①運用目的
20年以上の長期運用を柱とする。
年間税引後インカム300万円 (2015年基準、インフレ調整後相当) を目指す。
世界各国のGDP比に着目すると20世紀~21世紀初頭にわたり米国が一位であるが、米国を中心とした経済の成長とグローバル化の波に乗ることが長期的には極めて重要である。
この目的の達成のため、中長期での経済の見通しを見る目を常に養いつつ、成長見通しの明るい国を中心に投資を行う。
世界各国の景気は循環し、市場のボラティリティティー (価格変動) はなくならないが、長期的には世界の経済は成長し続けていることを忘れない。
②リスク資産の定義
リスク資産の定義: 株全般、REIT、不動産、無リスク資産以外の通貨と債券、オルタナティブ
無リスク資産の定義: 米ドル (USD)、日本円 (JPY)、
米国債 (最も優れたfixed income)、
金 (Gold)
一般には、日本円以外の外貨は、リスク資産と定義されることが多いが、ここでは、世界の通貨分散を行っている状態が真の無リスク状態と考える。
この意味で、2015年の状況において、米ドル (USD) よりも日本円の方が若干リスクがあるという考え方がある。このことを念頭に置き、米ドルと日本円の2通貨を主軸として保有する。
主に米ドル (USD) 建て資産により運用する。
2015年時点で、世界で最も低リスクのfixed incomeとして、米国債を挙げ、これを無リスク資産と定義した。
すべての資産は、その時点や過去の時点での米国長期債 (10年) のリスクフリーレートや米国長期債 (30年や10年~29年既発債) の金利と、収益性を比較したうえで扱う。
日本国長期債 (10年) のレートも参考にはするが、日本の財政状況を鑑み、日本国債は暫定的にリスク資産から外している。
株式・米国長期債いずれも、そのリターンにより為替リスクは過去、相殺されてきたため、ドル円レートは忘れてもよいという視点に立つ。
むしろ、円資産・日本リスクを考えたリスクヘッジとして米ドル保有は有効な手段である。
米ドルが無リスク資産、という視点に立つと、資産の大半を米ドルで保有していたとしても、過剰な為替リスクとは考えない。
四半期/1カ月ごと等、定期的なの全資産の洗い出しと円評価、ドル評価を行う。
③リスク許容度
長期運用目的であるため、一般的に言われるリスク許容度は相対的に高い。
潜在的成長率は株式が過去一番高く、この意味で、株式へ高い割合を保ってもよく、生活防衛資金を除いたアロケーションとして常に世界株式は50%以上、できれば80%以上でよいと考える。
絶対的なリスク許容度としては、これまでのドル建てあるいは円建て実現益分はすべてリスクの高い資産に割り当ててよい。
最大の値下がりリスクとしては、世界大恐慌時代の1930年代に米国株が約1/10に減価したことを踏まえる。これによると、上記実現益×111% 分はリスク資産に投資してもよく (90%の下落を許容する) 、現実的には実現益×200% 程度をリスク資産に割り当ててもよいものと考える。この状態であれば、損切りをまったく行わず継続投資しても心理的負担は軽く、むしろ利回りの高い追加投資・配当再投資ができる。
考え方の例
a) (投資総額-実現益分 * 111%)
⇒ 選択肢例(1) 現預金ないしMMF (USD, JPY) として待機資金とする
選択肢例(2) 米国債
選択肢例(3) 比較的低リスクの株式50%、債券+短期運用資金50%
b) (実現益分) + その11%
⇒ 比較的高リスク株式
④ポートフォリオの構成
上記リスク許容度と、コスト意識をもとに、アロケーションを考え、ポートフォリオを策定する。
生活防衛資金を、暫定的に生活費1年分以上とする。さらに保険の解約返戻金分を除外した部分をポートフォリオ資産と定義する。
各時点での米国債10年/30年金利を基準 (リスクフリー利率) に、株式や債券のリスクプレミアムを踏まえて株式/REIT/債券の比率を考える。
全体の資産配分比率(アセットアロケーション)は、当面は以下の範囲を目安にする。
世界株式 50%~90%、大型バリュー株
REIT 0~30%、
債券 0~30%、
短期運用資金(MMFや短期国債) 10%~50%、
コモディティ 0%~10%
この比率は、世界経済の状況を踏まえた上で流動性を持たせ、長期的には逆張りの姿勢で臨むことにより収益を上げられると考え、相場の転換点によっては大きく変更してよい。
以上を踏まえ、インカムゲイン狙いを主体とするポートフォリオを目指す。
市場のボラティリティ―がなくなることはないが、その元本からのインカムという実現益は絶対的なものであると考える。
アセット全体がたとえ減価したとしても、収益が継続して成長し、さらに実現益を再投資に回すと、この再投資分による配当・金利分も成長しつづける。
株式では、単年度での配当と、その増配分、ニューマネーによる追加配当、これらを含んだインカムゲインの増加を目指す。
債券では、安定的な金利をfixed incomeとして期待し、さらに、株式の緩衝材としての役割を期待する。
⑤アクティブ/パッシブ比率
インデックス運用としても、アクティブ運用としても、将来の値動きは未知である。いずれも採用する価値があるが、必ずしも、パッシブ運用を中心でなく、ポートフォリオの基準価格は市場平均を必ずしも上回らなくてもよいと考える。アクティブリスクを取るに値する資産、比較的確実に利益を上げられる資産を優先候補とする。現段階で、バリュー株投資が主軸で、有利な複利効果が得られると考え、総インカムゲイン絶対値の増加、Yield on Costsの増加を主眼に置く。
以上より、アクティブ/パッシブ比率は高く、必然的に50%~100%を目指す。
アクティブ運用: 個別株については、リバランスが難しい点もあり、大きなリアロケーションが必要とならない限り、buy and holdを貫く。これはアクティブ運用に相当するが、優良大型長期増配株を狙うことにより、一時的にはパフォーマンスが悪くても長期で配当が増え (増配と配当再投資による) 、さらに市場の評価による株価上昇を期待する。たとえ元本が半値以下になったとしても、超長期(数十年)で運用することにより、buy and holdを貫き(売らない)、配当再投資を行えば、アクティブ運用であっても米国10年債を凌ぐ収益率が期待できると考える。
S&P貴族指数や連続増配株関連の指数に連動を目指すETFも、このアクティブ運用に含める。
パッシブ運用: MSCIインデックス、S&P500インデックス、Dow Jonesが候補に挙げられる。これらについては、リバランスの対象となる。リバランスの目標アロケーション、リバランス頻度は別に定める。
⑥個別銘柄/ファンドの選択
配当成長株を主眼として、配当収入を主軸とした運用を基本とする。頻繁な売買はできるだけ避け、buy and holdに適する株を選別する。コストを意識した運用を心がける。株式運用の部分については、超長期で年率10%成長も視野に入れる。
長期運用目的であることから、株式へのエクスポージャーの絶対値は年々高くなっても構わない(相対的には少なくしてもよい)。
株式ポートフォリオ: 基本的に、損切りを行わない。不必要なマイナスリターンを実現させない。短期的な売買は目指さない。
株式の過去100年間の収益は、世界的企業(大型株)では、配当再投資による収益が大部分とされている。
アクティブ運用については、長期的に見て企業利益の高成長が期待できるよい株をできるだけ安く買う。
株価収益率(PER)等によるバリュエーション(価値評価)を行い、1株利益と1株配当の持続的な成長が期待できるエクセレントカンパニーに注目する。大型株でかつ割安な時期に投資することを基本とする。
世界の時価平均を鑑み、2014年現在では米国株へ50%以上を割き、ほとんどを先進国株とすることが懸命と考える。
具体的な投資対象として、先進国個別株、特に米国・英国、優良大型株の長期連続増配株、dividend aristocrats (dividend champions)、dividend achievers/contenders、連続増配株関連ETF (例:VIG、SDY)、あるいはバークシャーハサウェイ株(BRK-B) 等をウォッチしつづけ、機会を窺う。ROE、ROA、PER、配当率、配当性向、増配率、増配年数を含め調査する。その時々でリスクフリー金利と比較する。
日本については、2000年~2014年末までの状況により、成長見通しは危うくリスクが高いと考えており、自身の拠出分が年金運用されているウェイトが比較的高いため、自己運用のウェイトは極力低くし (GDP比よりも低くする)、5%以下を基本とし、最大でも10%とする。
新興国については、10%以内とする。
もし仮に中国等がGDP世界1位になったとしても、2015年現在では政治的基盤等のリスクが高いと判断され、このような国については避け、米国中心の投資方針は急激な変更はしないのが懸命であろう。
パッシブ運用については、経費のできるだけ少ないETF (例:VT、VTI、VOO、SPY) やファンド(例:世界経済インデックスファンド)を活用する。
上記のアクティブ運用は絶対収益志向で等金額分散を基本とする。インデックス運用は市場全体のうねりを取る目的であり、これらを状況に合わせてミックスしたポートフォリオとする。
REITポートフォリオ:
REITには、日本を含め運用総額の30%までを充てることが可能と考える。
新興国は10%程度まで充ててもよいと考える。
債券ポートフォリオ: 先進国債券を中心とする。インフレを考えると債券は実質リターンが低いことにも留意し、アロケーションを決定する。債券についても、buy and holdを堅持する。
債券ポートフォリオでは、非リスク性債券とリスク性債券を区別する。
非リスク性債券: 米国債(米国財務省債券)10年物以上と定義する。
リスク性債券: 米国債以外。世界債券インデックスや、日本国債はリスク性債券とみなす。
社債や新興国建て債券はもちろんリスク性債券である。
米国債、特に、長期債(10年~30年)への直接投資が、世界のflight to qualityによる金利に対する動きに敏感であり、株式との負の相関が観察されている。それに対し、世界債券インデックスは、一時的は株式と正の相関が観察されている。
よって、米国の優位性が揺らがない限り、米国財務省債券の長期債(10年~30年)への直接投資が有利と考える。
日本の債券については、2014年現在金利上昇リスクが高いと考え、ポートフォリオ内には含めない(日本リスクを年金等で負っているため、追加のリスクはとらない)。
インフレを考えると債券は実質リターンが低いとはいうものの、リスクフリー金利 (10年米国債) が税込で3.5%を越え、30年米国債金利が5%以上を目指す/越えるようであれば、十分魅力的と考える。この場合、新たな資金で米国債の組み入れを増やす。
リスク性債券クラスには、新興国債券を含め、これまでの実現益の範囲内で資金を割いてもよいと考える。
コモディティポートフォリオ: コモディティは金利を生まないため、アロケーションには含めても5%程度、最大10%とする。
非稼働性の資産であることに留意するが、インフレヘッジとして組み入れてよい。
最終的には絶対収益志向 (主に株式) のアロケーション比率を上げてゆき、総合的なYield on Costsの増加と、収益率の逓増を狙う。
⑦売買実行
ポートフォリオの監視は常時行い、割安な時期に買付を行う事を心がける。
株式市場のボラティリティはなくならないが、長期で上昇を確信する銘柄のみを買うため、過度に一喜一憂しない。
株式市場の急落はむしろ逆手に取るチャンスである。
現物株をできるだけ安く買う、いわゆる逆張りである。
取得時にリスクを織り込んでいるので、損切りは基本的に行わず、配当再投資・新規購入していけばよい。
エントリーポイントには移動平均線(5日-25日-75日)、MACD、RSI、ボリンジャーバンド等のテクニカル指標も参考にするが、あまり囚われない。
信用取引は、原則行わない。インバース型ETFについては、今後の検討課題とする。
税抜で5年分の総インカムゲインを超えるキャピタルゲインのある資産については、利益確定を考えてもよいが、再投資リスクに注意する。buy and hold方針を貫く方が懸命かもしれない。
税抜で10年分の総インカムゲインを超える、あるいは2倍を超えるキャピタルゲインのある資産については、一部利益確定し分散させることを奨める。
⑧リバランス、リアロケーション
各四半期毎、年毎に観測し判断する。
理想のアロケーションを模索している段階であり、現段階で必ずしも正確なリバランスは必要とせず、むしろ各年のリスク許容度や資金の絶対額から算出してリアロケーションを考えているが、今後の検討課題である。
⑨将来の展望
長期では、利益・配当・株価はすべて同率で成長すると期待できる。
株価を追うのではなく、企業利益を精査するのが最も理に適っていると考える。
⑩情報収集
常に、経済その他の勉強、過去および現時点での世界情勢の情報収集を行う。
自分で分析することを常とする。
他人の分析を見る場合、少なくとも3人以上の見解を調査することが望ましい。
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