あなたのアセットアロケーションに債券は必要か
私は、目下、アセットアロケーションについて再考、思案中です。
今の総資産のうち、株式ばかりに偏ってしまっており、一般的に言うと非常にハイリスクになってしまっています。それでも平静を保っていられるのは、投資にかなり慣れてきてしまった、と言うのがひとつの理由です。
慣れ、というものも怖いものです。つい5年前は、大量の株式を保有するなんて、考えも寄りませんでした。しかし、株式投資でも、債券投資の延長線上の考え方で行えることを知り、債券オンリーの投資で良い!というところから180度考えを改めてしまいました。そして、その状況に慣れてしまいました。
慣れてしまって良いのか?
良くないかもしれません。何故なら、債券投資はリターンが読めます(ナマ債券の場合)が、株式投資はリターンが読めないからです。だから、株式投資を全面的に信用してしまうのもいけない。
なら、どうするか。
伝統的な、株式:債券=50%:50%や、60%:40%のポートフォリオを組むのが、やはり、一般的には理に適っているものと思われます。
しかし!超長期的に見て、世界の株式と債券を混ぜたポートフォリオよりも、世界の株式オンリーのポートフォリオの方が、過去のデータではリターンが良いことは沢山の人が言っています。また、過去10年では、世界の株式ミックスよりも米国のみの株式ポートフォリオがリターンが高かったという事実もあります。
いくら株式がリターンが高かったとは言え、リスクは非常に高いです。ボラティリティが高く、枕を高くして眠れないかもしれません。リスク管理が求められます。
では、あなたは、「債券に投資せずに、株式のみに投資しろ」と言われたら、本当に実践できるでしょうか?
できない人の方が、できる人を遥かに上回ると思います。したとしても、キャッシュポジションを多めにとっている場合が多いのではないでしょうか。
また、短期的には株式にほぼフルインベストメントでも、スイングトレードの場合、決済するとキャッシュ(現金)ポジションがでてしまいます。これは真の株式100%ポートフォリオとは言えません。
かく言う私も、債券ポジションとして、米ドルのMMFを、それなりに保有しています。これは、いざと言う時の株式買い出動用の待機資金でもあります。
「株式ばかり買います」という人でも、追加資金としてキャッシュポジションや債券をそれなりの割合で有している方が、賢明である可能性があります。
待機資金があったとして、それを、金利のつかないキャッシュで置いておく、という手は、手としてはあり得ます。NYダウが歴史的高値を何度も塗り替えてきたここ数年間、慎重な投資家ほど、利確したりキャッシュを積み立てたりで、待機資金を増やしているものと思います。それを、すべて金利のつかなり現金で置いておくことは非常にモッタイナイと思います。
米国債もそれなりの金利に上がってきています。世界のもっとも安全な資産である米国債を保有しておくことは、リスクフリーレートが取れる、という意味で、もの凄く重要なことです。米国債は、貴重な資産の置き場です。どうしても値下がりリスクを嫌うなら、ドル建てMMFを買っておけば良い。
私が今考えているのは、債券(とりわけ米国債)をポートフォリオに組み入れることにより、生活防衛資金を圧縮できるという利点があると思います。なぜなら、米国債はリスクフリーで必ずプラスリターンが得られる(為替リスクを除く)からです。生活防衛資金を円預金や円定期預金、日本国債という旨味のほとんどない資産のみに置いて置くよりも、一部は米国債として保有しても良いのではないか、と考えています。
それで問題ないと考えられるならば、それも実質上のポートフォリオに加えてしまえば、ポートフォリオ全体の絶対額を嵩(かさ)上げすることが可能になります。絶対量が少ない株式100%のポートフォリオよりも、債券を例えば株式の3分の2ほど加えれば、ポートフォリオとしては株式:債券=60%:40%となりますが、リターンの絶対値が大きくなります。
個人の投資の場合、リターンの絶対値を上げるためには、投資額の全体を増やすことがもっとも重要です。
例えば、リターンが100%でも投資資金が10万円ならば、リターンの絶対値はたかだか10万円です。
しかし、リターンが20%でも投資資金が100万円ならば、リターンの絶対値は20万円です。
もしもリターンが5%しか得られなかったとしても投資資金が1,000万円ならば、リターンの絶対値は50万円です。
もちろん米国債は為替リスクがありますが、以下の3点を考えれば良いのではないかと思います。
① 今や、日本円のみを保有する時代は終わった。誰にとっても、世界の通貨、特に米ドルを保有しないという選択肢はない。日本円のみ保有している方が、為替リスクが大きい。
② 給料を得ている人は、新たに給料からの資金を着実に積み立てれば、多少為替損で減価してしまっても絶対値としては積み増していける。
③ 長期持ち続けることで、円高に振れたとしても、米国債を保有していれば為替損はある程度は金利で相殺できる。
米国債の金利を得てトントンとなる、いわゆるブレイクイーブン為替を下回らなければ良いのです。だから、ほとんどのケースでは円に直しても損しない可能性が高いかもしれません。ブレイクイーブン為替としては、私の尊敬する林敬一氏の著書『証券会社が売りたがらない米国債を買え』や同氏のブログを是非読んでいただいて、大和証券ホームページの外国債既発債券のところにある
トレジャリー・ゼロ(米国国債ゼロクーポン債)シミュレーター
http://www.daiwa.jp/products/bond/afr/tzr/simulator_tzr.html
を見るのが分かりやすいと思います。
以上の理由から、どの投資家も、債券、とりわけ米国債や米国MMFを買っておくという選択肢は常にあり得ると思います。
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